「赤尾真央さん!」

ここで私をフルネームで呼ぶのはただ一人。

「何でしょうか、葛城圭介先生」

パソコンの画面に視線を置いたまま返事をする。
彼は味食調理師学校の特別講師だ。

「今年度最後の私の授業ですが、二十日の一限と二限が、二限と三限になりました。変更をお願いします」

この学校には情報処理関係の事務職員が三人いる。私はその中の一人で、主に学校のWEBサイトを管理している。

「夕月先生と交代された、ということですね」

パソコンのスケジュール画面を開き、言われた通り訂正する。

「完了です。生徒自身もスケジュールの確認をするでしょうが、先生も口頭でお伝え下さい」

私はこの葛城圭介が苦手だ。
見た目はモデル並みに高身長で、塩系のイケメン。私の理想とする男性像に近い男なのだが……彼はサイボーグだ。

笑った顔も、感情に振り回されアタフタした姿も、見たことがない。とにかく無表情で何を考えているか分からない輩だ。

私は根が単細胞で直情型だから、全く異質なこういう輩とは水と油。仕事以外はお近付きになりたくない。