お見合い結婚狂騒曲
もしやこれは母性本能? イヤイヤ、待て待て、大の男性に庇護欲なんか芽生えたら、ダメでしょう! 普通、逆でしょう? 守ってもらわなきゃ女として終わってるでしょう!

現心情を大いに否定していると、「祖父母は僕の命の恩人だからね」と彼がポツリ言う。

ん? どう言う意味だろう、と思ったが、次に葛城圭介が思いも寄らない爆弾を落とす。

「真央、本交際に移るぞ」
「ハイ? それはどういう意味でしょう?」

脈絡なく言われた言葉に、思考がついて行かない。

「本当に馬鹿なんだな。本交際に移るということは、結婚を前提に正式に付き合うことだろう、そう『見合い屋』の説明にあったろう」

イヤ、それは分かるが……とブッ飛び過ぎた内容に、逆に冷静になった私が訊ねる。

「葛城圭介さん、貴方、私と結婚したいんですか?」

君は有り得ないと、言った女なのに……。

「最初は絶対に有り得ない女だったが、今は、有りかもしれないと思っている」

その心境の変化は? と聞きそうになり、「声だ」と言われたら、横っ面を張っ倒しそうだったので止めた。代わりに訊いてみる。

「葛城圭介さん、貴方、私のことが好きなんですか?」
< 74 / 132 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop