ドア越しに馬鹿笑いが聞こえてくる。案外、貴方、笑い上戸では? と思う。

「ーー腹が痛い……否、まだ好きではない」
「じゃあ、結婚するのは無理では?」

そうだ、好きでもない人と結婚なんて無理だ。

「君、何か思い違いをしていないかい? 僕たちは見合いをしたんだよ。当然、そこに愛などない。恋愛じゃないんだからね」

ハッと目が覚める。そうだった。変に以前から知っていたので勘違いしてしまっていた。

「分かったようだね。見合いとは、結婚ありきの付き合いだろう。顔も見たくないほど嫌いじゃなかったら、別にいいんじゃないか?」

嫌いじゃなかったら……ウーン、そうだなぁ、と思い返す。苦手意識はあった。でも、それは嫌いというわけではなかった。現に、理想に一番近い存在だと、彼のことを認識していたぐらいだ。

「で、君は? このまま本交際をスタートさせるよね?」

威圧的なその物言い……NOは受け付けない、と言っているみたいだ。

「それに、好きの感情は付き合いから生まれるものだ。僕は君のことを、好きにならないとは言っていない」

その時、ピッピッピッと乾燥機から仕上がりの合図が鳴り響く。それがスタートの合図に聞こえ、思わず返事をする。

「本交際、始めましょう!」