君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている

面倒な薄桃





前の席の高橋樹里とお弁当を食べていたあたしは、突然差し出された手紙に頬が引きつった。


「なに、これ……?」


真っ赤な顔で震えながら、あたしに手紙を差し出しているクラスメイトの千世。

その後ろではなぜか加奈子が、満面の笑みでうんうんと頷いている。


「7組の越智くんに、渡してきてほしいの!」


やっぱり……と、予想してた答えに内心うんざりとため息をついた。

加奈子のラブレターを山岡先輩に渡したのは、一昨日のこと。

まさかこんなに連続して、他人のラブレターを頼まれるハメになるなんて。


気が遠くなりかけたけど、いけないいけない。

ちゃんと断っておかないと、またあの気まずさを味わわなきゃいけなくなる。


「いやいやいや、おかしいでしょ。何であたし?」

「加奈子のラブレターを無事届けた歩にお願いしたら、上手くいくような気がして」

「それ、気がするだけだよね? あたしにそんな御利益ないって」

「確かに。歩って恋愛と縁遠いしねぇ」

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