イケメン医師は今日も新妻が可愛くて仕方ない
そう言うと、頬に手を当て額を合わせてくる伊吹。
そして、情けなく眉を下げて謝ってきたのだ。

「千花は、忙しいを理由に蔑ろにしていい相手じゃないのに……。新婚早々からこんな事をした俺に幻滅してないか?ダメな旦那で、ごめん……」

そう謝る伊吹は、心底反省しているのが分かる。

そして、私に離れられないかと不安になっている。

「幻滅なんかしてないし、ダメな旦那さんとも思ってない。伊吹はすっごく優しくて、私に甘いもの……。でもいくら仲のいい親戚の子でも、心配してだと思うけど、そんなに二人になったりしないで……」

最後の方は小声になってた。
それでもこの距離だから、私の言葉はちゃんと伊吹に届いた。

「うん、逆の立場で考えたら俺も気分良くない。もう,しないよ」

そう言われて、私も伊吹を見つめて返事をする。

「うん、約束ね?私も言葉にしなくてごめんなさい。伊吹、大好き……」

「ありがとう。俺も千花が、大好きだよ……」

そうして私の、初めてのヤキモチは幕を閉じた。

その日私達は、結婚して初めてのデートをした。

普段してたような、一緒に出掛けるような感じだったけれど、今までとの違いはちゃんとあった。

街やモールの中を腕組んで歩いたり、車の中でキスをしたり。

甘くて、穏やかで、一緒にいることで私はますます伊吹が好きになる。

好きの気持ちに際限がない事を、私はこの日自覚した。
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