当日。

フェルザー城の馬車寄席に、三台の馬車と二十の騎馬が整然と並んでいた。

私は少し驚きながらアレクセイ様に手を引かれ、一番大きな馬車へ向かう。

「随分と物々しい護衛ですね」

アレクセイ様は、多くの護衛を引き連れて移動することを好まない。

婚約時代には、フェルザー領から私の居るアンテス領まで頻繁に行き来していたけれど、少数精鋭の護衛を少数引き連れ自ら馬で駆けて来ていた。

今回は私が同行するから馬車なのは分るけど、それにしても大げさな警備に感じる。

「リードルフは荒々しい土地だからな。ラウラの護衛は多いに越したことはない」

「アレクセイ様は自らリードルフを訪れたことがあるのですか?」

「ああ、領地に赴任する前から何度か視察に行っている、最後に行ったのは半年前だ」

「そうなのですか……」

リードルフほどの重要な街は、頻繁に視察の必要が有るのだろうか。

「ラウラ、足元に気をつけろ」

馬車の前で立ち止まったアレクセイ様が、乗り込む手助けをしてくれる。

私が乗り込んだ後、アレクセイ様は護衛兵の隊長と打ち合わせをしていたけれど、程なくして馬車に乗り込んで来て、直後馬車はすべらかに走り出した。