ヒルト家の屋敷に戻り、アレクセイ様の指示で医師の診察を受け、問題ないと分かると漸く一息つくことが出来た。

「ラウラ、大丈夫か?」

忙しく動き回っていたアレクセイ様もようやく落ち着いたようで、客間で休む私の元にやって来た。

「はい。私は怪我もないですし、イザークとヘルミーネ様の方が心配です」

「ふたりも医師に診せているから心配ない」

アレクセイ様は私の隣に腰をかけて肩を抱き寄せてくる。

「ラウラ……いろいろと悪かった」

「……何がですか?」

本当は分かっているけど、アレクセイ様の口から聞いてみたい。

「リードルフに来てからの俺の態度について。今朝ラウラに言われて振り返ってみて反省した」

「どんな風にでしょうか?」

「言い訳をしてもいいか?」

珍しくしゅんとするアレクセイ様に、私は無表情で頷く。

「今回リードルフで起きた問題についてラウラに詳しく話さなかったのは、深い考えが合った訳じゃなかった。そう時間をかけずに解決すると思っていたからわざわざラウラに話して心配させル必要はない、それよりもリードルフの街を楽しんで欲しいと思ったんだ。ラウラはこの視察を楽しみにしていただろう?」

「そうですね、結婚して初めての公務ですし楽しみにしていました」

「ヘルミーネを重用したのは、それが一番合理的だからであって、決して個人的感情はない。あの夜部屋に入れたのは酔っ払った代官がヘルミーネを追いかけて来たから一時的な非難場所として入れただけだ。邪な気持ちは全く無かったからラウラが起きていても問題ないと思った。むしろ起きていたら話をしたいと思っていたくらいだ」

必死に言い訳を並べるアレクセイ様を私は黙ったまま冷ややかな目で見つめる。

だけど、内心ではとっくに怒りは消化していた。

今朝、直接文句を言ったことですっきりしているし、アレクセイ様が言う悪気は無いという気持ち、少しは分かっていたのだ。

でも分かっていても気持ちは上手く折り合いを付けられないから、憂鬱になっていたのだけれど……。