「どんな事情よ!今さら連れていくなんて許さない。
連れていかないで!」

「それは......できません......。
ご迷惑をおかけしたことは分かっていますが、大切なうちの子なんです」


私の勢いにその女はたじろいだけど、それでもきっぱりとうちの子だと言い切った。それがまた私の神経を逆撫でする。


「一ヶ月も一緒にいたのよ?
トイレのしつけだってしたし、毎日一緒に寝て、病気の時は病院に連れていった!秋人なんて、こんな無愛想な顔してるのに、具合の悪いこの子を一晩中見てたのよ!?次の日だって朝早いのに、それなのにずっと、」


一ヶ月も一緒に暮らして、初めて自分で面倒を見て病気の時は病院にまで連れていった猫がいなくなってしまう。

そう思うと、秋人にどれだけ止められても、女にどれだけ引かれても、この感情を止めることなんてできなかった。


「いいから、もう行ってください」

「え、でも......」

「大丈夫ですから」


らちが明かないと思ったのか、秋人が女に帰るように促すと、遠慮がちにうなずいた彼女の腕の中にいる猫と目が合って、心が引きちぎられそうになった。

連れていかないで!と追いかけようとしたけど、秋人に後ろから抱き込まれて抑えられる。