完全に玄関のドアが閉まると、急に力が抜けてしまって、その場にへたりこむ。


「寂しくなるのはわかるが、仕方なかったんだ。元々あの人の飼い猫だったんだよ」


それは分かってる。
何言ったって返してくれるわけなんてないこともちゃんと分かってる。

でも、ずっと一緒にいて、一緒にいるのが当たり前になって、いつかどこかに行ってしまうことを忘れてたの。


秋人はへたりこんだ私を抱きしめ、色々となぐさめるようなことを言うけれど、今はどんな言葉もなぐさめにはならない。


「そんなに猫が好きなら、また猫を飼おう」

「猫は嫌い。見る分には可愛いけど、お世話をするのは手間がかかるし、病気になるし、それなのに私に感謝もしない。自分勝手でわがままで気まぐれで」


思い通りにならない。
私の意志とは関係なく勝手に秋人に連れられてきたくせに、最後は勝手に他の誰かに連れられていってしまった。


「でも、......なんとなくずっと一緒にいると思ってた。
いつまでも猫なんて呼び方じゃ可哀想だから、名前も考えてたのよ。ミケなんてださい名前じゃなくて、もっと、センスの良い......っ、」