《クールな彼は欲しがり屋》
本日一時晴れ間が見られそうです

翌日は、朝から曇りだった。

会社で見た沢田課長は、
「和泉、春川に会議資料の整理させろ」と和泉さんに言った。

沢田課長は、和泉さんを通してだけ私に指示を与え目を合わせることもなかった。

「ねーぇ、昨日沢田課長と消えてどこに行ったの?」
隣のデスクに座っていた佐野さんが椅子を近づけて小声で聞いてきた。

「飲みに行っただけです」

「二人きりで?」
したり顔を見せる佐野さん。

「でも、それは....あのお二人を邪魔したくなくて」
私は佐野さんと和泉さんを交互に見た。

「はぁ?二人って、私と和泉くんのこと?」

「はい、二人の邪魔したら『やぼ』だと沢田課長が」

私の言葉を聞いて佐野さんは不敵な笑みをこぼした。

「へーー、なんか意外」
佐野さんは、首を伸ばして沢田課長の方を見ながら椅子を元の位置に戻した。

「意外って何がですか?」

「違うかも。意外じゃないのか」
ボールペンを顎に当て、パソコンを眺めてていた佐野さんは、やがて私の方を向いた。

「昨日の歓迎会といい、その後の行動といい....ね、春川さんって沢田課長と知り合いだったとか?」

鋭い。
なんて、鋭いんだろう。でも、どうしてわかったのだろう。

私は、佐野さんから視線をそらして答えた。

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