私が勤めているのは大手家電メーカーだ。

冷蔵庫や電子レンジなどのいわゆる白物家電から、液晶テレビやパソコン、スマートフォンなどのデジタル機器。そして発電や鉄道システムなどのインフラも請け負っており、日本各地にある営業所や国内外の工場、系列企業の社員まで含めれば十万人以上になると思う。

大きくて立派な本社ビルだけでも、千人以上の社員が働いている。

私は総務で拓海は営業。
同じ会社の本社に勤めているとはいっても、仕事中は部署が違えば顔を合わせることはほとんどない。

だから、たとえ十年以上の片思いをこじらせた幼馴染みと同じ会社で働いているといたって、気にしなければ別に業務にも生活にも支障はないのだ。



そう、気にしなければ。


「だけど、気にしないでいられるはずがないです……っ!」

月曜から、またいつものように仕事がはじまるのに、この精神状態のまま、いつものように仕事ができるとは思えない。
拓海の働く部署の前を通るだけで昨日のことを思い出して、挙動不審になってしまう気がする。
絶対変に思われる。

どどどどどどうしよう。