俺様社長はウブな許婚を愛しすぎる
でもドラマチックなプロポーズをしてくれた和臣さんなら、もしかしたら私の誕生日を知ってくれていて、実はこっそりサプライズを用意してくれているかも……なんて、淡い期待を抱いてしまっていたりする。


「いや、さすがにそれはないかな」

口ではそう言っていても、さっきからスマホばかり気にしてしまう。

でも本当に和臣さんに言わなくて私は後悔しない? あとで知ったら和臣さん、ショックを受けないかな。

もし逆の立場だったら、私はすごくショックだし……。

そう思うとあれほど今さら言えないと思っていたのに、揺らぎ始める。

メッセージ、送ってみようかな。【実は今日、誕生日だったんです】って。


言わずに後悔するより、言って後悔した方がいいよね。……それに誕生日を和臣さんに祝ってもらえないのは、やっぱり寂しいから。

「……よし!」

意を決し、和臣さんに向けたメッセージ文を作成しようとした時、インターホンが鳴った。

「誰だろう」

立ち上がりモニターで確認した途端、目を疑う。
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