オオカミ副社長は蜜月の契りを交わしたい
香奈の決断
まだまだ女子社員の刺すような視線のなか私は日々過ごしている。

幸い、社外広報は新商品発売でとても忙しく、外に出ることも多いので今の私には丁度良い。

副社長の強引なアプローチと私に芽生えた淡い恋心がきっかけでお付き合うことになって早2週間が過ぎた。

公表を拒んだときはかなり不服だった彼も今はそのことには触れなくなった。

デートはもっぱら忙しい彼に合わせて会うようにしている。

会社の近くだと誰が見ているか分からないので二駅ほど離れたところで待ち合わせをして
ご飯を食べに行くというパターンがほとんどだった。

もちろんこれは私の希望で……。

会話も仕事中は副社長と呼ぶが会社をでたら名前で呼ぶようにしている。

そして帰りは最寄りの駅で降ろしてもらう。

本当は家まで送ってくれると浩太郎さんはいってくれるのだがそれは断っている。

送ってくれる。ごちそうしてもらう。

そういった相手に何かしてもらう事が当たり前になるのを防ぐためでもある。

何より今よりも生活のレベルを上げてしまうと後戻り出来なくなる。

それがいやなのであまり人に頼らず自分で出来る事は極力自分でやっている。

だから送ってもらうのもせいぜい最寄りの駅まで。

彼氏が我社の副社長でも毎回食事もごちそうになってばかりって事にならないように割り勘だったり、今日ごちそうになったら次回は私が払うようにしている。

でも浩太郎さんからしたらあまり面白くないという。

大好きだからいろいろしてあげたいのに制限されるのは嫌だ……と


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