カリスマ副社長はフィアンセを溺愛する

トントン拍子

「ごめん。」


テーブルの上に、オーダーされたミルクティとコーヒーを置いた途端、頭を下げられてしまい戸惑う。


「ごめん、この前は余計な事を言って。」

「あー、いえ、大丈夫ですから。」


そう。

頭を下げているのはケイさんだ。

ちらりと横目で慈英を見れば、何でもない風にコーヒーを飲んでいる。


「兄さんに凄く怒られて。ごめん。」

「本当に大丈夫ですから。私も子供みたいに拗ねてしまい……すみません。」


お互いに頭を下げている。

今覚えば、凄く恥ずかしい。

あんな事で拗ねてしまうとか…………。


「ホント、子供ですみません。」


深く頭を下げた。

大きな手に頭をポンポンと叩かれ、下げていた頭を上げた。

慈英と目が合う。


「嫉妬したって事でいい?」

「…………はい。」


反省の意を込めて小さく頷く。

実際に『嫉妬していた』のかもしれないから。


「ケイも言葉には気をつける。いい?」

「ごめん、兄さん。」


気落ちするケイさんに心がチクリと痛んだ。
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