次期社長の溺愛が凄すぎます!
産みの母は遠慮がないです
***


翌日出社すると、その場にいる皆に目を丸くされた。

「あれー。どうしたんですか主任。今日は女性に見えます」

一応、生まれた時から女性なんだよね。

「そうかそうか、三島さんは残業したいんだね。しょうがないなぁ。お仕事たくさん回してあげる。決算期で経理が大変って言っていたから、その手伝いと~……」

「パワハラ満載なことを言わないでください。珍しいじゃないですか、きっちりカッチリなスーツしか着ない主任が」

そりゃそうだ、これでも主任だもの。主任である以上はスーツを身につけておかないと、オフィスカジュアルとか言いつつ、どんどん私服になっていっちゃう皆に小言もいえない。

たまに新入社員が、びっくりするような扮装してくるから、締めるときに締めれるような格好してないと。

ムッとした私に構わずに、彼女はひとりで頷いている。

「サーモンピンクのフィッシュテールスカート、白いフリルつきブラウス、それにキャメルのジャケット。そんなフェミニンな服装は初めて見ます。どこの男を引っかけるつもりですか」

どこの男も引っかけるつもりはない。

「おかしい?」

「髪型がストレートのままなのが惜しいです。帰りに編み込みしましょう」

「そこまで気合い入れなくてもいいと思う。単に春らしくコーデしただけだから」

ヒラヒラと片手を振って追い払おうとしたら、ガシッとその手を掴まれた。
< 118 / 197 >

この作品をシェア

pagetop