食事を終えて家に戻ってきて最初に主任が口にした言葉。


「モモ、コーヒー淹れてもらっても?」

「はいっ、すぐに淹れますね」


この瞬間が私は好きだ。

私の淹れるコーヒーが一番おいしいと言ってくれる主任に、自分の存在を認められている気がするから。


「毎日これが飲めたらいいんですけどね」

「え?」

「いえ、なんでもありません」


私だって仕事から帰ってきた主任に毎日コーヒーを淹れてあげられたらって思う。

だけど離れてる以上それは叶わない事。

そんな事を口に出して言ったところでただのワガママにすぎない。


ソファーに座ってくつろぎながらコーヒーを飲む主任。

近くに住んでれば平日にだってこんな時間が持てたかもしれないのに。

すべては現実では無理な事。


両手で握ったままのカフェオレを一口飲む。

――苦い


もしかしたらこうやって一緒に過ごすのは私じゃなくても……


「モモ、何を考えてるんですか?」


いつの間にか自分のカップを見つめたまま固まっていた私に主任が声をかけてきた。


「えと、」

「さっきアヤノにも言われましたよね?思っている事は言葉にした方がいいと」

「……はい」

「不安ですか?寂しいですか?モモが口にしてくれないとわかりません」

「でも、それはっ」

「すぐにはできない事もありますが、二人で一緒に一番いい答えを探しませんか?」


でも、寂しいなんて言ったら主任は困るでしょう?
それでも?一緒に答えを探すの?


いつのまにか溜まってた涙がこぼれてしまって、私は慌ててそれを隠すように下を向く。


「モモ、」


主任に優しい声で呼ばれると、胸の奥がキューってなって苦しくなる。

苦しくて
切なくて
嬉しくて

――どうしていいかわからなくなる


言ってもいいの?思ってる事全部。

こんなこと口に出したりして嫌われたりしない?


「私っ、……

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