俺様社長ときゅん甘同居
違和感の加速
先週のランチのあとは、砂川さんは言った通りに翔子ちゃんに山のように仕事を言いつけた。

翔子ちゃんがデザインする多くは日用雑貨や素敵な生地のプリント柄になり世の中に出ていく。
翔子ちゃんのプリントは落ち着いた柄から自然の草花をモチーフにしたナチュラルテイストだったり、かと思えばポップなキャンディーやハートなどの可愛らしい物が紙ナプキンにプリントされたりしている。

そんな彼女の作品で可愛らしいものが見本の試作品で届いた時はたまに、どうぞと渡してくれる。
ここで仕事をしている私の、密かな楽しみだ。
翔子ちゃんの可愛いデザインの商品は所々に私のツボを付いてくる。

しかし、仕事を山と積まれた翔子ちゃんは今かなり必死だ。
そんなこと言ってる私も月末にむけていっそう経理や事務処理に追われていた。
一度席を立つと

「処理と整理の終わったファイル片付けに資料室に行きます!」
「はい、気をつけてね」

そう諸月さんに答えてもらって、紙の詰まったファイル三つを抱え持ち、事務所を出て隣の資料室に行こうとしたら

「お前、またいくら隣でも持ち過ぎだろ?貸せ」

と言ってファイルを根こそぎ奪っていく砂川さんに、慌てて

「資料整理も私の仕事ですから!砂川さんも忙しいんですから大丈夫ですよ!」

そう言うと、砂川さんは軽々と片手でファイル3つを抱えて空いた片手で、ポンポンとまた私の頭を撫でる。
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