極上の愛をキミへ
目を覚ました時、隣にいたはずの男の姿はなくなっていた。

その代わりに、置き手紙がテーブルに残っていた。


”鍵、借りてく”


・・・帰ったんだ。

男が居ないことに、少しだけホッとした。

嫌とかじゃなく、どんな顔をして良いのか?わからなかったから。

後悔しているわけじゃない。

ただ・・・

彼だけじゃなく、男の・・・

朝比奈晃生の温もりが、あたしの体に記憶された。

その事実が、少しだけ切ない。

でも、その反面・・・

彼から少しだけ解放されたような気がして、気持ちが楽になった。

彼のことを忘れられなくても・・・

彼を想い泣くことも、傷つくことも・・・

そして誰かを羨む必要もなくなる未来が、来るような気がした。

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