守りたい人【完】(番外編完)
うちは父の趣味で、世界中の本や雑誌が沢山置いてある。

今までは乱雑に倉庫に眠っていたけど、これを期にインテリアも兼ねて大きな本棚に並べる事にした。

色とりどりの本は、きっとウォールナットの本棚に映えるはず。

その予想は的中し、壁一面に並べられた本達は何も無かったダイニングスペースを一気にお洒落なものにした。


「ここの暖炉は使えるんか?」

「ずっと使ってないけど、大丈夫だと思います」

「あとで、灰をかいておく」

「朝比奈さんに任せれば、大丈夫やわ」

「朝比奈さん、お願いします!」


大きなダイニングの隅には暖炉や薪置き場もある。

そこに、大きなソファや椅子を並べて、好きな本を読みながら窓から見える緑を楽しんでもらう、って計画だ。


「俺の方もできたで。いろんなサイトに付随して、ここのHPを載せてもらう手続きをした。誰かの目に留まれば、口コミで増えていくやろ」

「凄いです! そんな事もできるんですね~」

「惚れた? なぁ、惚れた?」

「あ、朝比奈さん、ここの椅子なんですけど」

「あぁ」

「ちょい、2人して無視するの止めよ~や!」


1人ではきっとできなかった事だけど、この2人がいる事でトントン拍子に事が進んでいく。

思い描く『新・姫野荘』がどんどん形になっていく度に、嬉しさが込み上げる。
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