その瞬間、一気に身の危険を感じた私は反射的に体に力を入れる。

そして、なけなしの威嚇で目の前まで迫ってきた朝比奈さんを睨みつけた。


「俺は覚えてるけど?」

「な、なにを!?」

「あんたが俺の腕を引いて、キスしてきた事」

「きっ」

「そんで、そのまま雪崩れ込むように俺の部屋に」

「――っ」

「その後の事は、この現状見れば分かるだろ」


そう言って、朝比奈さんは寝転がりながら頬杖をついて顔面蒼白の私を見つめた。

その姿と、その言葉に、一気に血の気が引く。


待って、待って。

この人の言う事が正しいなら、私が朝比奈さんにキスをして?

そのまま勢いに任せて朝比奈さんの部屋に雪崩れ込んで?

やる事やっちゃったって事……?


一気に二日酔いの気持ち悪さも抜けて、背筋が冷たくなる。

今にも震えだしそうな私を見て、朝比奈さんは意地悪く口角を上げた。


「これが証拠」


そして、自分の胸元に咲く真っ赤なキスマークを指さした。