甘い脅迫生活




「お茶だけしていこう。デザート食べたいし。」

「分かった。そうしようか。」



ブッフェとは別にある喫茶スペース。そこに私たちはお互い、笑顔で入っていく。


なんとなく、手は繋いだまま。笑顔もお互い、自然だと思う。



この時の私はまったく気づいていなかった。自分が感じたモヤモヤ、湧きあがった嫉妬心、そして、自然と笑えている自分と、優雨の気持ち。


もう抜け出せないところまで自分が来ていることに、全く気が付いていなかった。



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少しずつ、少しずつだけど、私の周りにも変化が起こる。



「脇坂さん、いや、ここは立木さんにやってもらおうか。」


「えー!なんでですか!」



例えば、社員さんが雑用を私に頼まなくなったとか。


「え、これが?」

「マジで?」



例えば、女子トイレで配送部の女性社員さんに陰口ともとれる言われ方をされたりとか。


「今日、なんか本社の営業が直接来たいっつってんですけど。」

「え?また?」


例えば、仕事関係の話と称して会社の人間がうちに頻繁に来るようになったり、とか。



どれもきっと、私と優雨の関係を知ったからだとは思うけど、だけどそれを肯定する証拠もないことばかりだ。




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