凱莉さんが素敵なプロポーズをしてくれた週末、早々に私の両親の元へ挨拶にに来てくれた凱莉さんを、両親は……特に母は手放しで喜んでくれた。

『ちーちゃん、いったいなんなの、あのイケメンさんは。あれって本物?生物?作りものじゃないわよね?本当にちーちゃんと結婚してくれるの?冗談じゃないの?ドッキリじゃないでしょうね?』

怒涛のような失礼な質問を投げかけ、母はぐいぐいと私との距離を詰めてきた。

そのわりにアッサリと結婚を認めてくれ、

『こんな素敵な人が息子になるのね。ちーちゃんが一人っ子でよかったわぁ。男兄弟がいたら、自分の産んだ子なのに凱莉さんと顔見比べて、溜め息つく余生を送るところだった』

などとにこやかな顔で言ってのけたりした。

最初は散々疑ってかかったくせに。

逆に父は温厚な性格なので、『千尋が幸せならそれでいいんだよ』と私にそう告げてくれたのだ。

次の日には凱莉さんのご両親にご挨拶させていただいて、吐き気がするほど緊張していた私を、温かく迎えていただいた。

驚くほどスピーディーに結婚が決まると、週明け月曜日。

私の反対を押し切って、凱莉さんは社内で私達の結婚を大々的に発表してしまった……。

『私事ですが、この度、6課事務員の久瀬千尋さんとの結婚が決まりましたので、この場を借りて報告させていただきます』

と……。

途端に女子社員たちの黄色い悲鳴と青い悲鳴が響き渡る。

きっとこのフロアで冷静なのは、凱莉さん一人だけだろう。

朝礼後、大騒ぎになっている社員達を掻い潜って、私は凱莉さんを会議室に引っ張り込んだ。