週が開けた月曜日のお昼休み。

私達は休憩室の一番隅に固まり、小さな声で報告会の最中だ。

「凄い急展開で話が見えないんだけど」

「なんにしても平嶋課長に協力要請したってことですよね?」

「そう。そしてちゃんと納得の上で了承してもらったの」

2人は殆どコンビニで買ったお弁当に手をつけることなく私の話に耳を傾け、この報告を聞いて大きく溜め息をついて背もたれに背を預けて天井を見上げた。

「すごいわ千尋ちゃん。本当にここまでよく成長したわね」

グイッと背中をしならせながら正位置に戻った沙月さんに頭を撫でられると、今までの私はどれだけ内向的だったんだと思わされる。

「チャンスはモノにしないと意味がないってわかりましたから」

いつまでも受け身でいても、なにも身にならない。

それどころか、イイコちゃんはちょいワルちゃんに食い物にされるんだと勉強したばかり。

人生、多少はふてぶてしく、図々しいくらいがちょうどいいのだ。

「それにしても、あの平嶋課長にそんなお願いができるなんて驚きです。いったいどんなきっかけがあったんですか?」

食い気味に聞いてくる瑠衣ちゃんの顔を見ながら思い出したのは、もちろん平嶋課長の顔だ。

ビンタをくらって去っていかれた女の背中を唖然と見つめた、あの間の抜けた平嶋課長の表情ときたら。

「平嶋課長は私の失態でお世話になったから全てを話して、噂を肯定はしなくていいので、否定しないでくださいってお願いしたの」

うん、これは嘘ではない。

その前に条件はあったけれども。

「それでよく了承してくれましたね」

疑われているように感じるのは、私が後ろめたさを持っているからだろうか。

「ああ見えて平嶋課長は情が深いから、千尋ちゃんの話をちゃんと聞いて納得してくれたのね」

平嶋課長の良さをちゃんと理解した上でそう納得してくれた沙月さんの言葉を聞くと、冷や汗をかいてしまいそうなくらい引き攣った笑顔でしか流せなかった。