愛想笑いの課長は甘い俺様
*3*

目を覚ますと、部屋の中も外も随分暗い。


「もう夜になってたんだ」


心なしか気分も良くなってる気がする。

一日寝てれば治るような風邪だったんだ。
よかった。



部屋の電気をつけて時計を見ると、7時を過ぎている。


気分は良くなったものの、やっぱりまだフラフラする。


課長からもらったイオン水でも飲もうと立ち上がったとき



ピンポーンピンポンピンポンピンポーン!



何度も玄関のチャイムが鳴った。


パジャマに髪の毛ボサボサのスッピンだけど、着替える気力もないし宅急便くらいならこのまま出ても大丈夫か。


フラつく足でドアを開けるとそこには課長が立っていた。



「坂井、大丈夫か!?」



課長の綺麗な顔が必死の形相になっている。



「え? あ、はい…寝たらだいぶ良くなりましたから」


「今朝も連絡無かったから心配したんだぞ」


「は? 朝、連絡しましたよ」


「昨日な」


「はい!? 昨日?」


「悪いけど、勝手に上がるぞ」


「あ、ちょっ!」


そう言うと、部屋に入ってくるなり荷物を置いてワイシャツの腕を捲り上げた。


「なんも食ってないだろ。作るから待ってろ」


「いや、でも課長」


「おまえ、ずっと寝込んでてどーせ何も食べてないんだろ。顔が真っ青だぞ」



そういえばお腹空いたようにも感じるけど、時間の感覚が掴めなくてお腹空いたのかも分からない。


「とりあえず寝てろ。出来たら持っていってやるよ。台所も勝手に使わせてもらうからな」


「す、すみません…」


拒否する気力もなく、ベットで横になってキッチンに立つ課長の後ろ姿を眺めていた。
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