副社長の一目惚れフィアンセ
『直斗へ


私が不思議な力を持ってるって言ったのを覚えてる?

これを見れば、それが証明できると思います。

正確な日にちまではわからないから、とりあえず直斗の部屋に隠しておくね。

エッチな本とか挟まってるかと思ったけど、なかったな。残念。イヒヒ。


私の力は、自分の寿命がわかること。

ね?何の役にも立たないでしょ?

しかも、誰も信じはしない。

だけど私には、小さいころからなんとなくその時期がわかってたんだ。

今のところ病気とかしてるわけじゃないから、多分事故とかで突然死ぬんだろうなあ。


直斗がこの日記を読むのはいつになるかな。

これを読むときの直斗は、それなりに心の整理がついている時なんだと思います。

だから、ここからは本音。


直斗とこれからもずっと一緒にいたかったよ。

いつか直斗と結婚して、かわいい子供に恵まれて…

それでね、その子たちに明里の結婚式のリングボーイとフラワーガールとかさせるの。

直斗と一緒にいられないことも、明里の結婚式を見られないことも、すごく残念だけど、

私はもう自分の運命を受け入れてるよ。

隠していてごめんね。

本当は何度も別れようと思ったの。

でも私は弱くてそれができなかった。

きっと、その分直斗に悲しい思いをさせてしまっただろうね。

だけど、私は最後まで幸せでした。

そばにいてくれてありがとう。


あと、ひとつ忠告!

直斗が心から愛する女性を見つけたら、気持ちは素直に伝えるようにしてください。

それはとても大事なことだよ。

直斗ってば、照れてばっかりで私には全然言ってくれなかったんだもん。

それで何度も私に怒られたよね。

愛しいなって思ったら「愛してる」。

幸せだなって思ったら「幸せだよ」。

相手に伝えることはとても大事なことなの。

それだけで、相手も幸せな気持ちになれるから。

直斗が愛する人が、同じように直斗のことを心から愛し、大切にしてくれる女性でありますように。

そして、直斗がずっとずっと幸せでありますように。


バイバイ。




P.S. —————————

                             詩織 』

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