副社長の一目惚れフィアンセ
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ピピピピ ピピピピ ピピピピ ピピピピ ピピピピ ピピピピ


単調な音を聞きながら、しばらくぼんやりしていた。

何が起きたんだろう。
…いや、何が起きているんだろう。

数秒考えたのち、ようやくスマホに手を伸ばし、アラームを止めた。

寝起きはいいほうじゃないから、朝はいつもぼーっとしている。

だけど、今日はあまりにもリアルな夢で、現状を把握するのに時間がかかってしまった。

すごく心地いい空間に…幸せな空間にいたはずだった。

だけど、突然シャッターを閉めて遮断されるように、機械音が私をそこから無理やり引っ張り出した。

もう閉店だよって。またのお越しをお待ちしてますって。

またその場所にたどり着けるかどうかもわからないのに。

…ああ、もうどんな夢だったかも覚えていない。

起き上がるのが憂鬱で仕方ないけど、夢の余韻に浸ってもいられない。


「…よしっ」

足に勢いをつけてベッドから起き上がる。

高野明里(たかのあかり)、24歳。

寝ぼけた脳を奮い立たせ、今日も会社へ向かう準備を始める。

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