「結婚オメデト~っ」
「詩織がまさか結婚なんてな。信じらんねー」

 直樹と晴樹に両側から祝福されて、私は複雑な表情を浮かべている。

「おめでたいのか、よく分からないけど……」

 藤崎詩織は、無事滞りなくPWの社長である佐々木智也さんと結婚することができた。
 昨夜は結婚祝いとして二人きりで一緒に食事をとったのだけど――

 夕飯の前に「ただいまのキス」をねだられ、唇は免れたものの、頬にキスをされた。

 あのときは一体何が起きたのか把握できず、ただただ驚くばかりだったけれど、時間が経つにつれてじわじわと実感してきて、恥ずかしくて緊張して、食事の味が全く分からなくなってしまった。

 佐々木さんが何かといろいろ話しかけてくれていたけれど、それも全部うわの空だった。
 食事を早々に終え、後片付けを終わらせた私はすぐに別れを告げて帰ってきた。