ヴァンパイアの花嫁
男が塵になったのを見届けたレオンは踵を返し、地下室へ向かった。


近づくと部屋の中からシェリルの金切り声が聞こえた。


「近づかないで!」


怯えたようなシェリルの声。


「ティナ様、どうか落ち着いてください」


「そうだよ。早くガラスの破片を取った方がいいよ。肌に刺さる」


ダーモッドが言う。


アメリアはティナの頭に降りかかったガラスの破片を、一刻も早く取り除きたかった。


ティナ?


地下室の入り口でレオンの足が止まる。


「触らないで!!」


こんな声が出せるのかと驚かせるほどのシェリルの拒絶する声。


その声は次第にすすり泣きに変わった。

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