シェヘラザード、静かにお休み
捜しもの、王女さま
ノックする音より前から、シーラはその足音に気付いていた。
しかし返事より先にその扉が開くとは思わなかった。
「……起きてたのか」
月明かりの下で本を読んでいたシーラを見て、驚いた顔をしたのはルイスの方だった。
「何よ、夜這い?」
「なわけあるか」
寝転んだままルイスを見上げ、ベッドの端を譲るように窓の方へ寄る。
隣に来い、という意味なのか。
動かないルイスを見てから、
「面白い話をしてくれるんじゃないの?」
と首を傾げて来る。
どこまでも話を強請るシェヘラザードだ。