シェヘラザード、静かにお休み
とらわれたのは、お前か私か

ジャケットを羽織る。部下がルイスの姿を見て、肩を落とした。

それが安堵なのか、落胆なのか判別が出来なかった。

「どうした」

「また飯食べてません」

昨日、ルイスは休日だった。代わりに彼が牢屋番をしていたが、シーラは全く飯に手を付けなかった。

それが何故か、何となくルイスには分かっていた。

勿論、牢屋番がルイスじゃなかったからなんて自意識過剰な理由ではない。

「名前を聞かれたか?」

「え? ああ、はい」

「それで」

「答えませんでした」

「だろうな」

それが普通だ。部下の頭に疑問符が並べられ、その横を通り抜けていく。

< 28 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop