シェヘラザード、静かにお休み
さよなら、退屈な日々よ


嵐の前の静けさとは、こういう日を言うのだろうか。

寮の窓の外を見たルイスを呼んだのはジャックだ。

「本当に辞めるのか?」

「昨夜、辞表は提出した」

「どうして急に」

「お前も、早めに辞めた方が良い。家業あるんだろ?」

ダンボールひとつにまとまる程の荷物。ルイスは多くを持たずにここへ来た。去るときも同じだ。

「なんだそれ、魔女の予言か?」

「……まあそんなところだ」

国民の暴動が起こる起こらないに関係なく、ルイスは昨夜この仕事を辞めることを決断した。

そして今日、シーラは処刑される。

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