ドクター時任は恋愛中毒
◆悪魔からの電話


日曜日の午後、私は千緒の病室に面会に来ていた。

入院初日以降はすっかり容体が安定し、下痢はまだ残っているものの、ミルクは通常と同じくらい飲めるようになった。

頬にもほんのり赤みが戻り、今はすやすやと気持ちよさそうに眠っている。

というわけで特にやることがない私は、自然と物思いにふける。その内容は、やっぱり時任先生ことになってしまう。


『お前なりに一生懸命家族のピンチに立ち向かう姿に、俺は凛々しいものを感じる』


落ち込んでいた私に、彼が掛けてくれた言葉だ。

一生懸命というより必死なだけなのだけど、時任先生はお世辞とか言うタイプじゃないだろうし、素直に嬉しかった。

だから、恋愛に興味がないという彼の変わった性質のことは嫌というほどわかっているつもりだったけど、思わず胸にあふれる気持ちを伝えたくなり、告白してしまった。

絶対に迷惑がられると思ったのに、待っていたのは突然のキス……。

驚いたけど、少しは私のことを意識してもらえてるって、思っていいんだよね?


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