目を覚ましたら、ベッドの上だった。
多分、湊さんのベッドだろう。
男の人の匂いがする。
自分で車から降りた記憶はないから、湊さんが運んでくれたんだろう。
うわ~、恥ずかしい。
荷物も壁側寄せて置いてくれている。
細い身体で、以外と力持ち。
湊さんを探しに寝室を出ると、ちょっとした廊下に出た。
えーっと、玄関があっちだから、こっち?
数あるドアの中から、ガラスがはめ込まれたのをそっと開けてみる。
リビング発見。
でも、居ないな。
男一人暮らしのわりに、整然としていて、ついキョロキョロしてしまう。
もう一つドアがあった。
こっちの部屋に居るかも。

「湊さ~ん」

遠慮気味に呼んでみるけど、返答はない。
寝てるのかな?
ノックをしてみる。
応答なし。

「ごめんなさい、失礼します!」

意を決して開けてみたけど、不在でした。
中は、広い机があって、上に3台のパソコンと本や雑誌が折り重なっていた。
他にも、ギターやキーボード、ダンベル。
バスケットボール、ランニングシューズ。
壁一面大本棚になっていて、そこには、部屋に散りばめられている多趣味を物語るかのように、色んなジャンルの本がひしめき合っていた。
うわ~。
図書室みたい。
でも、踏み入る事はしなかった。
今更だけど、これ以上はプライバシーの侵害だわ。
リビングに戻って、革張りのソファーに腰を下ろす。

「はぁ……」

溜め息をつく。
広い家だなぁ。
都会の物価は解らないけど、一人暮らしの会社員って、こんないい部屋に住めるんだ。
いいとこにお勤めなのかしら?
な~んて。
近所のおばさんみたいな事思ってみたりして。

「はぁ……」

また溜め息。
昨夜、スマホで『戻る』て言ってたから、私をベッドに置いてから仕事に戻ったのかな。
わざわざ仕事の途中で抜けて私を迎えに来てくれたのかも。
お母さん、私の声が届かない様子で電話してたし。
きっと、その時に湊さんを急かしたんだろう。

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