突如秘書課に乗り込んできたのは、見知らぬ女性だったから。

彼女は室内を見回した後、部屋の奥にデスクがある課長の元へスタスタと向かっていく。

「すみません、今いらっしゃったので一度切ります」

受付の社員に伝え内線を切った。

身長百五十センチほどの小柄で痩せている。大きなクリッとした目に似合うふわふわの髪を揺らし、憶することなく室内をズンズンと進んでいく。

そして唖然とする課長のデスク前で立ち止まった。

「ねぇ、廉二郎はどこ? いつ戻ってくるの?」

廉二郎さんのことを呼び捨てにした彼女に、オフィス内はどよめき出す。それはもちろん私も――。

彼女はいったい誰? 廉二郎さんとはどんな関係なのだろうか。

突如現れた彼女に大きく揺れ動く心。

戸惑いの中、課長はどこかに電話を掛け、なにやら副社長のスケジュールを確認している様子。

そして電話を終えると彼女を案内し、オフィスを出て行った。