「お世話になりました」

「あぁ、元気で」

退職の日、これが彼と交わした最後の言葉だった。




社長は私が退職する三日前に無事退院。辞める前に元気に退院する姿を見られて本当によかった。

その後しばらく自宅療養に入るため、退院の日に社長に『用事がない限り、伺いません』と伝えた。『大丈夫、早く治して私が会社に行くから』と明るく答えてくれて、最後に社長の笑顔を見られてよかった。

大泣きする堀内さんをはじめ、同僚に花束をもらい退職した後、私は逃げるように都内から離れ、都内から離れ関東郊外にある印刷会社に事務員として就職した。

近くのアパートを借り、同時にひとり暮らしもスタートさせた。

アットホームな職場環境のおかげで仕事は順調。初めてのひとり暮らしは寂しくなる時もあったけれど、大型連休のたびに家族が遊びに来てくれたり、職場の同僚とよく仕事帰りに食事に行ったりと充実した日々を送っていた。