秘密の恋は1年後

甘い束縛は突然に ―sideまひる


 ドキドキする。痛いくらいに。

 好きと言ったのは自分だけど、耐えきれなくて一方的に電話を切ってしまった。
 せっかく出張先から連絡をくれたのに、なんという失礼な終わり方をしたのだろう。

 決して広くはないひとり暮らしの部屋をうろうろしてから、ベッドに戻って横になった。

 かけ直す勇気はなく、ほんの三分程度の会話を繰り返し思い出す。

 尚斗さんは意地悪だ。
 私が連絡を待ってるって分かっていたような言い方だったし、会いにいけないのに呼び出したりして……。

 でも、冗談交じりに『バーカ』と言われたのは、なんだかくすぐったかった。
 彼はどんな表情で話していたのか見てみたかったとも思う。


「会いたいなぁ」

 今朝見た時は、出張から戻っても彼のスケジュールに余白はなかった。

 週末なら、会う時間を作ってもらえるかなぁ。
 早く戻ってきてほしいと、ひとりの夜に切なさをぶつけた。

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