・・・




「お茶をどうぞ・・・」


ゆっくり起こされた背中に
優しく手が添えられて

手に持たされたお茶に
口を付けながら
恥ずかしくて頬が熱くなる

「少しずつ飲んで下さい」

顔色の変化に気付いて
更に近付く住職を
少し避けながら頷いてみせた

「すみません・・・私」

「大丈夫ですよ、お疲れなのでしょう
ゆっくり休んで下さい」


“大丈夫”って
なんてホッとする言葉なんだろう

どこまでも優しい眼差しに
こちらも自然と笑顔が溢れる


「ううん・・・やっとお会いしたのに
横になってるなんて・・・」

もったいないと続けようとして
ハッとする

サラリと口から出た言葉は
余りにストレート過ぎて
誤魔化すように口元に手を当て
ギュッと瞼を閉じて下を向いた

ーー心の声が溢れ過ぎてるーー

恋愛を知らな過ぎて
ブレーキが効かない

夫もいる身の上なのに
なんと乙女なことを口走るか・・・

本当に出したい声は
トホホかもしれない

それなのに

「あゆみさんもそう思って下さったなんて嬉しいです」

住職の口から出たのは意外な言葉

そしてそれは
更にこちらの顔を赤面させた


ーーあゆみさんってーー

ーー嬉しいってーー

住職の声がリフレインする


俯く視界の隅の住職が
じわりと近付いて
キツク握ったままの湯呑みを取った