ハッと我に返る透子だが、突き落とし事件の真相を話すことは、万引きの件も皆に話すことになりはしないかと躊躇していた。

そんな時、ちょっといいかなと、理人が発言の許しを悠輝に請うた。

余計な話はするなよと悠輝が釘を刺しはしたが、仕方がないとOKしたようだ。

『君、優花と同じ高校出身だったよね。優花から聞いた話だけど、君は悪いことをしたことがあるらしいじゃないか。だからってことではないけれど、君は嘘を吐くような問題のある人間だと思っているんだよ、優花の友人としてはね。だから君、責任の所在を明らかにしたらどうだ。当然、悪いことをしたら罰せられる。そうだろう?さあ、とっとと、終わらせてくれ。俺だって、優花だって暇じゃないんだ』

理人の前に座る優花は、マズいことを言われてしまったと思っていたが、素知らぬ顔で、窓の外を眺めていた。

それを聞いた透子は、優花の顔を暫く呆然として見つめていたが、突如として、優花に掴みかかった。

『あんた、何?如何にも自分は関係ないって顔してさ。あんたこの1年、私を強請ってたじゃない。金品を要求してたじゃん。さも、イイコみたいに振る舞って。笑っちゃう!みんなこの女に騙されているのよ』

ハアハアゼエゼエと肩で息をして、透子は今度は薄ら笑いを浮かべて理人を見る。

『林葉さん…あなた、見る目ないわね。こんな女だって知らないで、愛してるって…馬鹿じゃないの。だって…』

透子の言葉を遮って、優花が彼女に言い募る。

『止めなさいよ。あなた頭がおかしいんじゃないの?私がそんな訳ないじゃない。理人に変なこと言わないでよ』

そこに理人も加勢する。

『本当に無礼な女だな。君には友達がいないから、優花が面倒見てやってたんだろう?図々しいんだよ君は』

理人は、泣いて嗚咽を漏らす優花の肩を抱き寄せた。

『ハハハハハハ。馬鹿な男。よく見てみなさいよ。嘘泣きだよ』

そんなはずないと、理人はより一層強く優花を抱き寄せる。

ハアッとため息を吐いて、もう本当に呆れたわと、バッグからスマホを取り出す。