あの事件のあと、怒濤の日々が過ぎて行った。

どこから聞きつけたのか、ある雑誌の記者が嵯峨野家にまでやって来て、花音の取材をしたいと申し入れてきた。

勿論、そんなもの受けるはずもなく門前払いにしたのだが、今後は嵯峨野商事の顧問弁護士を通すように伝えると、チッと舌打ちをして帰って行った。

そしてあの出来事は、良くも悪くも皆の人生を変えることとなったが、花音にとっては、あの一件の前もその後も、胸をえぐられるような悲しい日々を送ってきたに違いない。

それを思うと、花音の強くて優しい兄は、妹が不憫でならなかった。

しかし、最近の花音は何かが違う。

ニューカノン?

妙に浮かれているような、でもしかし、以前のような大人しいだけの女の子と言うだけでもない、悠輝は訳が分からない状態に少~しだけ戸惑っていて、しかも、寂しさも味わっていたのだった。