お見合いだけど、恋することからはじめよう


スペインバルを出たあと、青山通り(246)でタクシーを捕まえる。後部座席のドアが開き、先に友佳を放り込む。

「……じゃあ、青山、今日はごちそうさま」

結局、青山がすべて奢ってくれた。

……ま、ヤツは院卒な上に、すでに「主任」だから、あたしたちよりもずっと高給取りだけどね。

「……水野」

乗り込もうとするあたしの背中に、青山の声がかかる。

「気晴らしになるかと思って来てみたけど」

さすがの青山も、同じ部署内での二股には懲りたか?

「たまには、このあとラブホに連れ込む必要のない女と呑んでもおもしろいな」


……あぁ、やっぱ、ムカつくヤツっ!

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