一途な2人 ~強がり彼氏と強情彼女~
6章
「えっ、
あっ、え、紗良・・・!?」

社長が目を丸くして振り返る。

当然だよね。
背後から勢いよくヘッドホンを外されたんだから。

「何故ここに?」

「・・・石川さんが、鍵を貸してくれて、それで・・・。」

「・・・・うん?」

何故ここに?と社長が聞いたのは
鍵とかそんな、物理的な問題じゃないことくらいわかってるんだけど、
どうにも恥ずかしくって話をずらしてしまう。

「謝らなきゃ、って思ってきました。
私、社長のこと、社長としてしか見てなくて・・・、それで・・・。」

「いや、謝らなければならないのは俺の方だ。
君の気持ちも確認せずに無視してしまっていて・・・。」

「ねぇもう、そんな口の利き方やめて!!
どうして社長でいようとするの!!
そんなの、私が知ってる彬くんじゃないのに!!」

「・・・紗良?」

「あなたにとっての私は、紗良じゃないでしょう!?」

一瞬小首を傾げた彼が、小声でささややくように言った。

「・・・さぁーちゃん?」
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