一途な御曹司に愛されすぎてます
 電話でメニューを注文してリビングで待っていると、バトラーさんが朝刊と朝食を乗せたワゴンを押しながら入室してきた。


 髪の毛ひと筋のほつれもない完璧な燕尾服スタイルの執事が、洗練された優美な動作で、私のために窓際のテーブルの上に朝食をセットしてくれる。

 豪華な部屋の背景も相まって、本当に自分がプリンセスになった気分だ。


 丁寧にお辞儀をして退室していくバトラーさんを見送ってから、私は朝食に手をつけた。


 果実感たっぷりの絞りたてオレンジジュースの爽やかな酸味と甘みが、寝起きの乾いた喉に染み渡る。

 温かいクロワッサンは表面はサクッとして、その歯触りが快感。

 焼いた小麦の香ばしい匂いが口の中にふんわり広がって、食欲を掻き立てられた。

 スクランブルエッグはバターの風味がすごく濃厚なのに、ちっともくどくない。

 クリームチーズと合わせた自家製ヨーグルトも絶品で、これぞまさに乳製品といったしっかりした味わい。

 オーソドックスでシンプルな朝食だけれど、一品一品の味が際立っていて、朝からとても贅沢をした気分になれた。
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