一途な御曹司に愛されすぎてます
 彼にエスコートされて大きなアーチをくぐると、白い床や壁、自然石のオブジェで飾られた解放的なエントランスが広がっていた。


 古城ホテルとはタイプの違う近代的なイメージのロビーを通って案内されたレストランは、海に向かって円形に張り出し、湾が一望できた。


 窓際の席に誘導され、椅子に腰掛けて海を眺めれば、なだらかに波打つ水平線に沈みかけた夕日がキラキラと光の道を描いている。


 その道を横切るように進む一隻のクルーズ船を染める、空一面の鮮やかな朱と、眩しい金色の美しさ。

 アクセントのように薄紫に染まった雲が、忍び寄る夜の気配を漂わせていた。


「素敵……」

 思わず嘆息する私の様子に、階上さんも上機嫌。

「喜んでもらえてよかった。よかったら今度プライベートクルーズに招待しよう」


 改めて周りを見回すと、本当に私たち以外は誰もいない。

 自分以外に誰もいないレストランなんか初めてで、すごく不思議な光景を見ている気がする。

「本当に貸し切りなんですね」

 申し訳なさを感じて身が縮こまる。

 でもこれって庶民的な感覚なのかな? セレブな女性って、男性にこういうことをしてもらったら素直に喜ぶものなの?
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