処刑バッヂ
少し落ち着いてから屋上を後にしても、みんな無言のままだった。


あたしはまだプレゼントの箱を空けてもいない。


できればこのまま夜明けが来ればいい。


そしてなにもなかったように日常に戻るんだ。


階段を下りて近くの教室内で、みんなグッタリとした様子を見せていた。


短期間で2人も友人が死んだのだ。


こうなって当然だった。


あたしは教室の後ろのロッカーを背もたれにして、床に座り込んでいた。


普段は汚くて座ろうなんて思わないけれど、今は少しでも楽な体勢でいたかった。


「若菜、ちょっといいかな……?」


そっと声をかけられて顔を上げると麻央が箱を握りしめて立っていた。


「箱……開けたの?」


そう聞くと、麻央は一回頷いた。
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