誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
甘い、一夜のあやまち

 閑との同居話は、周囲の反対もなくとんとん拍子に進んだ。
 もう少し反対されるものかと思っていたが、閑はこの小さな商店街の人間に信用され、愛されているのだろう。

 それどころか、なぜか、小さな商店街の周知の事実になっていて、

『あらあらまぁまぁ、聞いたわよーっ!』
『よかったわねえ! しーちゃん、病気になったらそのまま孤独死するんじゃないかと思ってたけど、小春ちゃんがみてくれるなら安心だね!』
『ほら、この大根持ってけ! はっ、同棲じゃない!? 似たようなもんだろうがぁ~! いいから、いいから!』

 と、肉や野菜を押し付けられるという、訳の分からない展開になっていた。

(同棲じゃない、今まで同様、間借りだって言ってるのに……ほんとにもう……中本のおじさんもおじさんだよ、『これで安心だーっ』て……いや、心配してくれてるのはわかるけど……)

 小春は商店街での買い物を終えて、ビニール袋を手に持ち、とぼとぼとなかもと食堂へ戻る。あたりはすっかり日が落ちているが、師走に入って商店街は活気で満ちていた。

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