"鬼"上司と仮想現実の恋
私達が個室の席に着いて程なく、襖が開いて悠貴さん達が現れた。

「遅くなって申し訳ありません。」

そう挨拶したのは…

「社長!!」

驚いた私は、思わず声を上げた。

「暁里さん、こんにちは。」

社長が穏やかに微笑んで挨拶をしてくれる。

「こんにちは。
わざわざ、社長がここまで来てくださるとは
思ってませんでした。
お忙しいのに、ありがとうございます。」

私は頭を下げた。

「いえいえ。
これでも一応、悠貴の父なのでね。 」

と社長が笑う。

社長達に上座に座っていただき、社長が口上を述べる。

「この度は、瀬名暁里さんと、うちの悠貴の
婚約が整いました事、大変嬉しく思って
おります。
これを機に、両家の絆が深まります事を
願ってやみません。
今日は、ゆっくりと食事を楽しみながら、
親睦を深めましょう。」

と社長がにこやかに話す。
< 292 / 407 >

この作品をシェア

pagetop