艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
葛城圭という男
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翌日は休みを取ってあったので、今夜は実家に泊まることに決めた。簡単にはいかないだろうが、花月庵に何が起きているのか、その話を両親と兄から聞き出すためでもある。


レストランを出てからも、ひとりご機嫌なのは祖母だった。


「藍ちゃん、葛城さんにお礼言ってくれたのよね?」


帰りはタクシー二台に別れて、両親と兄が一台で先行し、私と祖母が同じタクシーに乗っている。


「うん。っていうか、あの人、誰なの?」

「誰って、葛城さんよ。今年の春の茶会で顔見知りになったの」

「今年の?」


だったら、つい最近の話だ。だとすれば、祖母も彼のことはそれほどよく知らないのだろう。うるさい父が居ない間に葛城さんの情報を聞けるかと思ったのに、あてが外れた。


「親切で礼儀正しい子よ」

「……そう」


親切で、礼儀正しい……ねえ。
礼儀正しい人は、少なくとも不意打ちでキスしたりはしない。

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