替え玉の王女と天界の王子は密やかに恋をする
婚礼の夜
「それにしても驚きましたぞ。
まさか、シャルアのお相手がフェルナンさんだなんて…
しかし、一体、どういうことなのです?
やはり、フェルナンさんはヴァリアンのお方だったのですか?」

陛下が、ヴァリアンの国王様に訊ねられた。



「これには、深い事情がありまして…
此度の相手選びを魔法使いに委ねたことは申したと思いますが、それは非常に難航しました。
本来ならすぐに出るはずの神託がなかなか出なかったのです。
皆で、方法を変え、術を変え、あらゆることを試したらしいのですが、一向に答えは出ず…
そんな時、ヒルダがある提案をしたのです。
フェルナンを養子に迎えてはどうか…と。
フェルナンは、息子たちと懇意にしているとはいえ、詳しい素性も何もわかりません。
ですが、血筋を辿ったところ、彼にはヴァリアン王家の血が流れていることがわかりましてな。
それで、急遽、フェルナンを養子に迎え、彼の情報を加えて、魔法使い達が神託を伺ったところ、フェルナンが選ばれたのです。
つまり、フェルナンが此度の婚礼の相手であったため、いくらルーサーとマーカスから選ぼうとしても選べなかったということですな。
さすがに、ヒルダは我が国に古くから仕える魔法使いです。
カンのようなものが働いたのでしょうな。」

「そうだったのですか。
不思議なご縁だったのですね。」

「運命に引き寄せられたとしか思えません。」



私も、事情がわからなかったから、ヴァリアン王のお話を聞いてびっくりした。
でも……
ってことは、私がフェルナンさんと結婚したってことは、夢じゃないんだ。



今、ここにいるフェルナンさんは、本物のフェルナンさん…
そう思ったら、胸がいっぱいになった。
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