あの夏に見たあの町で
神様がいるのなら

〜嫉妬と後悔の狭間で...新side〜




生まれた時間が少し早かっただけで



俺が兄貴で、物心つい頃にはお兄ちゃんなんだからと怒られるのも我慢するのも俺だった




お兄ちゃんだからと欲しいものも譲ってきた俺とは対称に、弟だからと何でも手に入れてきた朔に嫉妬すらした




6歳の時に風邪を引いて寝込んだ時、母親は俺の看病に付きっきりになった



初めて母親を独り占めできた瞬間だった




それなのに


朔は1人で遊びに行った公園で可愛い女の子に会ったと嬉しそうに話してきた



次の日も



また次の日も




その次の日に朔は腕を怪我して救急車で運ばれた






母親に連れていかれた病院で見た、痛みを必死に堪え顔を苦痛に歪ませる朔



バチが当たったと思った





それから間もなく朔は祖父母に引き取られた






母親は独り占めで、俺だけを見てくれる



そう思ったのに




時々、父親の仏壇で朔の話をしてるのを見かけていた



朔がいなくなっても、朔の存在に嫉妬した







< 38 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop