子爵は新妻を独り占めしたい
「これは…」

「そうですね、エリック様みたいですね」

紗綾とクレアはそう言ってお互いの顔を見あわせると、フフッと笑った。

「どうやら、自分が作ったサンドイッチをサーヤ様が食べているかの確認をしてきたみたいですね」

「そうみたいですね」

そう言いあうと、ドアを閉じた。

「サンドイッチのお礼、私がエリック様に言ってもいいですか?」

ソファーへ戻りながら聞いた紗綾に、
「その方がエリック様もお喜びになることでしょう」

クレアはクスクスと笑いながら答えたのだった。

(エミリーさんはもちろんのことだけど、エリックさんも結構いい人なんじゃない)

紗綾は心の中で呟いた。

こうして、見知らぬ世界での新しい生活は幕を開けたのだった。
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